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バセドウ病の治療について

バセドウ病の概要

バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起こる病気です。

バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起こる病気です

圧倒的に女性が多く、20〜50代で発症することがほとんどです。

症状としては安静時でも運動しているような状態になり、身体に負担がかかるので、動悸、汗、体重減少、だるさや疲れやすさを感じるようにもなります。
また、20〜30%の患者に眼球突出の症状が見られます。眼球突出は病気の進行とともに現れるのではなく、発症時にすでに見られます。逆に発症時に眼球突出が見られない場合は、その後症状が現れることはありません。

バセドウ病は生活習慣病ではありませんが、患者の6割は、心理的なストレスや環境の変化が引き金となって発症していると言われています。また、患者は圧倒的に女性が多く、20〜50代で発症することがほとんどです。

バセドウ病は、自分の甲状腺を刺激する抗体="自己抗体"ができることで起こります。本来は外から体内に入ってきたばい菌を退治するはずの抗体が、自分自身の甲状腺を刺激するために、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうのです。
バセドウ病自体は遺伝病ではありませんが、自己抗体が作られやすい体質の方はいらっしゃいます。そのような体質が遺伝して、そこに環境因子が加わって発症すると考えられています。

バセドウ病は、発症しても仕事を辞めて休養しなければいけないほど重い症状の方は非常に少なく、仕事をしながら治療することができます。しかし、再発が比較的多い病気であり、専門医が注意深く治療しても20%程度の患者に再発が見られると言われています。

バセドウ病の治療方法

バセドウ病の治療は投薬、手術、アイソトープ治療の3つの方法がありますが、ほとんどは投薬による治療です。

1.投薬治療

メルカゾール(抗甲状腺剤)
メルカゾール(抗甲状腺剤)​

投薬は甲状腺ホルモンの合成を抑えるメルカゾールという薬を使うのが一般的です。

1日3錠(一度に飲んでも可)から服用をはじめ、甲状腺ホルモンの値をみながら増減していきます。
メルカゾールによる治療をはじめると、ほぼ2、3ヶ月で甲状腺ホルモンの値は正常になります。
しかしそこで薬をやめると、病気が再燃してしまいます。自己抗体が高いうちはメルカゾールを服用しなければなりませんが約2〜3年ほどの投薬治療で、自己抗体は消滅する場合があります。

メルカゾールの副作用としては、皮膚のかゆみ、じんましん、肝機能障害などが見られることがあります。もっとも注意しなければならないのが、「無顆粒球症」です。
メルカゾールを服用することで、ごくまれに白血球の減少が見られることがあります。白血球の中の顆粒球という成分は、健康な人では1,000以上ありますが、副作用により500以下になるのが無顆粒球症です。

バセドウ病そのものは命を落とす病気ではありませんが、無顆粒球症になると命を落としかねません。そのため、メルカゾールを服用しはじめてから最初の2ヶ月間は、2週間ごとに白血球と顆粒球の値を検査して経過を見ます。
無顆粒球症にかかると高熱が出てのどの痛みが現れます。治療の開始時に、もしもそのような症状が出たらすぐに薬の服用をやめてご来院ください、という注意書きをお渡しし、十分な注意を促しています。

プロパジール、チウラジール(抗甲状腺剤)

プロパジール、チウラジールはメルカゾールよりも副作用が多く、作用が弱い為、メルカゾールで重篤な副作用がでた場合のみ用います。プロパジールとチウラジールは母乳に出てくる量も少ないため、授乳中にもこちらの薬を使用します。妊娠をしていなくても、これから妊娠を希望される方がバセドウ病を発症された場合に、はじめからプロパジール、チウラジールを使用する場合もあります。

妊婦が発症した場合、胎児には影響しない?
妊婦が発症した場合、胎児には影響しない?

バセドウ病にかかる方の多くが、妊娠・出産の可能性のある20~40代の女性であるため、病気そのものや治療が母胎に影響しないか、という不安を多くの方が持たれるかもしれません。

妊婦が発症した場合、あるいはバセドウ病の患者が妊娠した場合、甲状腺機能が亢進したまま妊娠を継続すると早産や流産をおこしやすく危険です。妊娠中は、きちんと治療を受け、甲状腺の状態を正常に保つことが大切なのです。

妊婦にメルカゾールを投与すると頭皮欠損や食道閉鎖などの特殊な奇型を生じることがあり、プロパジール、チウラジールにはこのような催奇型性はないため妊娠初期には、こちらの薬を用います。

眼球突出の治療

眼球突出はバセドウ病患者の約20〜30%に見られる症状です。

動悸や手のふるえなどの症状を自覚する前に、眼球突出をきっかけにバセドウ病が発覚することもあります。
眼球突出は眼の筋肉や脂肪の肥大によって起こります。筋肉の肥大がひどいと、眼が動かせなくなったり、ものが二重に見えたりすることもあります。眼球突出の症状が見られる場合は、眼科の専門医をご紹介し、眼のMRI検査をおこなっていただくとともに、専門医による早めの治療をおすすめしています。

2.アイソープ治療

2.アイソープ治療

メルカゾールの服用を2、3年続けてもバセドウ病が治らない場合(=薬がやめられない)は、アイソトープ治療という方法があります。アイソトープ治療は放射性ヨードを服用することで、甲状腺ホルモンを破壊してしまう治療法です。

アメリカではバセドウ病の治療の第一選択がアイソトープ治療であり、安全な治療法です。ただし、放射性ヨードが取り込まれすぎると甲状腺機能低下症が起こります。その場合は甲状腺ホルモンを服用して補います。
ただし、アイソトープ治療は当クリニックではおこなっていないため、希望者には治療が受けられる東京の病院をご紹介しています。

3.手術

バセドウ病で手術が必要となるケースはきわめてまれです。薬の副作用により無顆粒球症を発症した場合や、甲状腺がかなり肥大しているなどに、甲状腺の大部分を摘出する手術をおこなうことがあります。手術が必要な場合は、甲状腺専門病院をご紹介いたします。

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